猫の抜爪術/ディクローとはどんな手術?【爪を安易に除去してはいけない理由】

「猫の抜爪術について考えているんだけど、実際のところどうなの?」

日本において、抜爪術についての情報はあまり浸透していないため、そもそも知らない、情報が少ないというのが現状です。

とはいえ、抜爪術については賛否両論があり、世界的に見ると反対派の流れになっています。

この記事では、抜手術の基本情報をまとめるとともに、どうして議論になっているかを分かりやすく解説しました。抜爪術に踏み切る前に、ぜひご確認ください。

※どの医療行為を受けるか決めるのは飼い主にあるでしょう。この記事はその責任を肩代わりするものではありません。

抜爪術とはどんな手術なのか?


「抜爪(ばっそう)」という文字から、爪を抜き取るだけという印象を持ちますが、実際に行われるのは指先の骨の切断です。

下記画像のように、骨・靭帯・腱・皮膚を切り落とすことにより、爪を生えさせないようにする手術です。

抜爪術で実際に取り除くのは骨

「抜爪」「爪切徐術」「抜爪手術」「ディクロー」などとも呼ばれます。

抜爪手術の方法は主に2つ

  1. ブレード切除
  2. レーザー切除

順番に解説していきます。

ブレード切除

ギロチン式カッターまたはメスを使用して、指の末節骨の部分的または完全な切断をする方法。手術時間が早いため、抜爪術では最も一般的な方法です。切開後は縫合(縫い合わせる)か、外科用接着剤で閉じられます。

レーザー切除

レーザーメスを使用して、末節骨を関節から外します。レーザーの利点は、出血が少ないこと、術後の痛みが少ないこと、包帯がないことです。こうした利点から、最近レーザーディクローは注目を集めています。

欠点は、レーザー装置が非常に高価だということ。これはブレード切除よりも、手術費が高くなる可能性があることを意味します。

避妊・去勢手術のような”小さな”手術ではない

抜爪手術は、実際にはつま先の骨の切断です。これは、猫にとって痛みのともなう手術であり、適切な回復期間が必要です。

その間でも猫は、つま先を使ってトイレをしたり、ジャンプしたり、引っ掻いたりする必要があることを考えると、猫にとって大きな負担となるのは明らかですね。

抜爪手術のメリット・利点

ガンの転移や爪周辺の炎症を治療できる

抜爪術を行うメリットは、これらに限られるでしょう。医療的に必要だと判断される場合です。

「ひっかきによる家具へのダメージを防ぐ」は猫へのメリットではない

抜爪術を考える多くの飼い主が「ひっかきによる家具へのダメージを防ぐ」という理由でしょう。

しかしこれは冷静に考えると、飼い主側のメリットであり、猫にとっては関係のないこと。

健康な猫が抜爪術を受けたことにより、健康や福祉が向上したとする報告は、今のところ1つもありません。

抜爪手術のデメリット・不利点


メリットの一方で、抜爪術にともなうデメリットは数多く報告されています。下記はその一例です。

合併症

  • 耐えがたいほどの痛み
  • 術後の出血
  • 変形した爪の再成長
  • 慢性的な関節の痛み
  • 背中の筋肉が弱まる
  • 足をひいて歩く(歩行障害)

心理的合併症

  • 性格が内向的になる
  • 無防備感によるストレス

行動的合併症

  • 防御手段を歯に頼る(噛みつき)
  • トイレを使用しなくなる
  • 尿によるマーキングの増加

抜爪術が問題視されている理由


抜爪術について、賛否が分かれている現在、最低限の知識を持っておくことは非常に大切です。

爪とぎ自体はなくならない

抜爪術をしたからといって、爪とぎはなくなりません。多くの飼い主は「爪とぎがなくなる」と思い込んでいますが、現実は違います。これにより猫がストレスを溜め込んでしまうという可能性が示唆されています。

猫にとってのメリットがない

健康な猫が抜爪術を受けたことにより、健康や福祉が向上することはありません。

「不妊手術と同じでは?」と考えるかもしれませんが、不妊手術にはストレスの軽減や疾患予防といった猫に対するメリットがあり、抜爪術のこれとは違います。

猫にとってのデメリットが大きい

抜爪術のデメリットについては前述したとおりです。抜爪術はかなりリスクがある手術だということをご理解いただけるでしょう。どんな猫もリスクを回避することはできません。

道徳的、倫理的な考慮事項

  1. 飼い主の都合が猫に不必要な痛みを引き起こす
  2. 爪を切るのに害の少ない他の選択肢が存在する
  3. 爪が猫らしさの一部である

上記のような理由から、「猫の解剖学的構造の一部を取り除くことは倫理的に不適切である」と判断する方もいることを憶えておくのは良いことです。

悪徳な獣医師の存在

残念なことに、世の中(海外を含む)には抜爪術を単なるビジネスと考えて、抜爪術の説明を十分にしてくれないことがあるようです。

デメリットについて尋ねても答えをはぐらかされるかもしれません。本当に信頼できるかどうか?今一度確認する必要があるのかもしれません。

抜爪術によって殺処分は減るのか?

一部の獣医師の中には「抜爪術がなかった場合、猫を殺してしまう人もいる」と主張しています。

しかしこの場合、1)感情に訴えられている。2)そもそも猫の飼い主として果たしてふさわしいのか。ということも考える必要があるでしょう。

抜爪手術に代わる代替案


猫に抜爪術を施さなくても、問題を解決することは可能です。

抜爪手術に代わる代替案

上記のとおり、抜爪術を施す前に行えることはたくさんあり、ひっかきを予防することは十分に可能です。

上記を試したにもかかわらず、どうも上手くいかない場合は、猫の行動学についてより専門的な知識を持つ方にアドバイスを求めると良いでしょう。

きっと良いアドバイスをもらえるはずです。

まとめ:猫の抜爪術

猫の抜爪術は、ガンを患っている猫や、自分で自分を傷つけてしまうような猫を飼っている場合に受けることがあります。

猫の痛みやストレスのことを考えると、すぐに手術ではなく、違う対策によってなんとかしてあげたいですね。