なじめばきまま Written by Fukutaro Sugiyama

【猫は怠け者?】猫の美学は「必要のない労働をしないこと」

「猫ってなんであんなに怠け者なの?」

猫っていつ見ても寝てるし、労働っぽい労働もしてないので、僕も同じように思うことがあります。
「猫って働かなくていいからうらやましい!」とさえ思ってしまうほどですね。

では、猫はどれほど怠惰なのか?この記事を読んで知りましょう。読むと、猫って実はただの怠け者ではないことが分かります。

あなたの猫に対する見方が変わるかも!?

猫は怠け者ではなく、超合理主義者!


結論から言うと、猫は怠け者ではなく超合理主義者。理由はシンプルで「必要のない労働はしないから」です。

猫はご飯を食べるという目的を最短の方法で達成している

例えば、飼い猫は飼い主さんがキャットフードを用意してあげれば、なんのためらいもなくキャットフードを食べ始めますね。

ちょっとでも遅いと「ニャーニャー(早くして!)」とたかってくるのではないでしょうか?ご飯が終われば、毛づくろいをして、スヤスヤ眠りに落ちていきます。

ちょっと雰囲気を出すために、いつもよりいいお皿を使ってみよう。とか、よく動いたあとの方がご飯をより美味しく食べられるよね。などという無駄な思考は一切ないということ。

猫は目的達成のための手段を知っており、あとはただそれに従うのみ。というある意味で美学とも言えそうな、合理的な行動をする生き物なのです。

『猫の怠惰』という論文


猫という合理的生き物をもっとくわしく知る上で、とても面白い論文があります。

それが、1971年にケネス・コファーとグラントコールソンという人たちが発表した『猫の怠惰』という論文。

簡単に中身を説明すると、、、

「動物は食事を労せずに得るよりも、なんらかの対価を払って得ることを好む」ということが明らかになった実験です。ただし、この法則に当てはまらない唯一の動物が確認された、、、

それが猫。

実験方法

  1. ネズミに、レバーを押すとエサが出てくることを学習させる
  2. 学習したら2つの選択肢を与える
    選択肢1:レバーを押さなくても自由にエサが取れるボウル
    選択肢2:レバーを押すとエサが出てくる装置
  3. ネズミはどちらの選択肢を選ぶだろうか?
結果は不思議なことに、自由に食べられるエサがあるにもかかわらず、多くのネズミがわざわざレバーを押しにいったのです。

この研究では、動物は労苦や努力などの対価を支払って得た物の方を好むということを示しています。そしてこの法則は、犬、チンパンジー、ネズミ、鳥、魚など多くの動物で同じように見られました。

論文はこの心理を「コントラフリーローディング効果」と呼んでいます。

しかし前述したように、猫だけは同じ実験をしても、レバーを押すことはありませんでした。迷わずエサの入ったボウルに直行するのです。

猫のこうした性質を発見したケネスは、論文のタイトルに「猫の怠惰」とつけて発表したのでした。

人間にもあるコントラフリーローディング効果


コントラフリーローディング効果は、私たち人間にもちゃんとあります。こんな経験はありませんか?

  • 大変な入社試験をパスして入社した会社にこそ、属してつき従いたいと思う。
  • 努力して覚えた知識はずっと忘れないが、ネットで検索した知識はすぐに忘れる。
  • 同じ品物でも、人からもらった物より、自分で買った物の方が価値を感じる。

今まで無意識のうちにやってきた行動や感情ではないでしょうか。

ちなみに、同じ実験を就学前の幼児にやらせてみると、ほぼ100%の確率でレバーを押します。

100%って驚きの数字ですね!

この確率は成長とともに下がっていく傾向にありますが、大学生の時点でさえレバーを押す確率は50%を保っています。

このように私たちには、「対価を支払って得たものの方が価値がある」という心理があるんですね。

余談ですが、僕は最近、自分で裾上げをしたグレーのチノパンがお気に入りで、ヘビーローテーションしてました。これも確実にコントラフリーローディング効果の影響ですね!

猫はやはり独特な生き物


人間を含め、多くの動物が当たり前のように持っているのに、猫だけが持っていないなんて、やはり猫は独特な生き物だと思いませんか?

人間の観点から見ると”怠け者”と見えてしまいますが、猫たちからしたら「そこにご飯があるのに、なんでわざわざ労働しなきゃなんないの?」と考えているのでしょうね。

むしろ、無駄な苦労をしたがる私たちを見て、「無駄が多い奴らだなぁ」なんて思っているかもしれません。

とはいえ、猫もレバーを押すとご飯が出てくると学習することはできますし、おやつをもらうためにベルを鳴らす猫もいます。

学習できないというわけではないので、そこはお間違いのないように。

まとめ:猫は怠け者なのか?

この記事では、猫は怠け者なのか?という疑問について深掘りしてきました。

  • 猫は怠け者ではなく、超合理主義者
  • 『猫の怠惰』という論文がその裏付け
  • コントラフリーローディング効果は、人間を含め多くの動物が持つ心の動きです。
  • 唯一、猫だけが持っていなんて、猫はやはり不思議な生き物ですね。

猫の美学、それは必要のない労働はしないこと。

これからは怠け者なんて思わずに、究極の合理主義者と呼ぶことにしましょう。

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